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職場で自分の努力と成果を認めてもらうアサーション:控えめすぎずに伝える会話例

Tags: アサーション, 職場, 評価, コミュニケーション, 会話例, 自己アピール

職場で自分の努力と成果を認めてもらうアサーション:控えめすぎずに伝える会話例

職場での業務において、私たちは日々努力を重ね、様々な成果を生み出しています。しかし、その努力や成果をどのように周囲に伝えるべきか、特に上司や同僚に対して適切にアピールすることに難しさを感じている方もいらっしゃるかもしれません。謙遜しすぎて成果を過小評価したり、話すタイミングを逃したりして、正当な評価に繋がりにくいと感じる場合もあるでしょう。

アサーションは、相手を尊重しつつ、自分の考えや感情、要望を正直かつ率直に伝えるコミュニケーションスキルです。このスキルは、単に要望を伝えるだけでなく、自分の努力や成果を適切に共有し、周囲に理解や評価を促す際にも非常に役立ちます。

ここでは、職場で自分の努力と成果を適切に伝え、周囲に認めてもらうためのアサーションの実践方法について、具体的な会話例を交えてご紹介します。

なぜ、努力や成果を適切に伝えることが重要なのか

自分の努力や成果を適切に伝えることは、自己評価だけでなく、他者からの評価や信頼を得るために重要です。

アサーティブに成果を伝えるためのポイント

成果をアサーティブに伝えるためには、いくつか意識すべき点があります。

  1. 事実に基づき具体的に伝える: 抽象的な表現ではなく、「いつ」「何を」「どのように行い」「どのような結果になったか」を具体的に説明します。数値やデータがあれば、それを活用すると説得力が増します。
  2. 貢献度を明確にする: その成果が、チームや会社全体の目標達成にどのように貢献したのか、どのようなメリットをもたらしたのかを伝えます。
  3. 謙遜しすぎない: 感謝すべきは感謝しつつも、「たまたまです」「たいしたことありません」といった過度な謙遜は避けます。これはあなたの努力や成果を矮小化してしまう可能性があります。
  4. 感情や学びを添える: 事実だけでなく、「この経験から〇〇を学びました」「△△にやりがいを感じました」など、自身の感情や内省を添えると、より人間味のある伝わり方になります。
  5. 今後の意欲を示す: 成果を伝えた上で、それを踏まえて今後どのように業務に取り組んでいきたいか、どのような目標を持っているかを伝えると、更なる成長意欲を示すことができます。

具体的な会話例

アサーティブに成果を伝える場面は様々です。ここではいくつかのシーンを想定した会話例をご紹介します。

シーン1:上司への進捗報告・面談時

日々の報告や定期的な面談は、自身の取り組みや成果を伝える重要な機会です。

NG例: 部下:「〇〇の件、終わりました。」 上司:「そう、お疲れ様。」 (成果や工夫が伝わらないため、評価に繋がりにくい)

OK例: 部下:「〇〇プロジェクトの件でご報告です。課題だった△△の分析について、以前ご提案いただいた方法を参考に、さらに□□のツールを導入した結果、分析にかかる時間を20%削減できました。これにより、チーム全体の効率向上に貢献できたと考えております。」 上司:「なるほど、△△の方法に□□のツールを組み合わせたのか。それはいいね。効率削減の具体的な数字も素晴らしい。」 (具体的な行動、結果(数値)、貢献度を明確に伝えている)

シーン2:チーム内での成果共有時

チームミーティングなどで各自の進捗や成果を共有する場面です。

NG例: 自分:「私の担当分は、まあ何とか終わりました。皆のおかげです。」 (チームへの感謝は良いですが、自身の具体的な貢献が曖昧です)

OK例: 自分:「〇〇件についてご報告します。△△の課題解決に向けて、私は□□の部分を担当し、特にAの機能改善とBのデータ整備に注力しました。皆様のご協力もあり、目標としていたパフォーマンスを達成することができました。この経験から、Cの重要性を改めて学びました。」 (チームへの感謝を述べつつ、自身の具体的な担当範囲と取り組み、そこから得た学びを伝えている)

シーン3:自己評価シート記入・面談時

評価制度における自己評価や、それに基づく面談の場面です。書面や口頭で、客観的かつ具体的に伝えることが求められます。

自己評価シート記入時の記述例: 「担当業務:〇〇プロジェクトにおける△△機能の開発。 課題:既存の□□部分にパフォーマンスのボトルネックが存在した。 実施したこと:原因分析を行った上で、A、B、Cの3つの改善策を立案し、上司・同僚と相談の上、AとBの施策を実行した。特にAについては、新しい技術●●を積極的に活用し、コードの最適化を図った。 結果:ボトルネックが解消され、機能全体の応答速度が以前と比較して30%向上した。これにより、ユーザー満足度の向上およびサーバーコストの削減に貢献できたと考えている。 学び:新しい技術の導入における検証プロセスの重要性、チーム内での知見共有の有効性を学んだ。」 (STARメソッドなどを参考に、状況、課題、行動、結果、学びを構造的に記述する)

面談での補足説明例: 「自己評価シートに記載した〇〇プロジェクトの△△機能開発について補足させてください。特に力を入れたのは、パフォーマンス課題の解決です。具体的な施策として〜(シートに書いたことを補足)。この取り組みを通じて、技術的なスキルだけでなく、課題特定から解決策実行までのプロセスを計画的に進める力が身についたと実感しています。」 (シートの内容を補足し、具体的なスキル向上や成長実感についても述べる)

まとめ

職場で自分の努力や成果を適切に伝えることは、決して自己主張が強いということではありません。自身の貢献を明確にし、周囲との信頼関係を築き、自身の成長に繋げるための大切なコミュニケーションです。

今回ご紹介したアサーティブな伝え方のポイントや会話例が、あなたが職場で日々の努力と成果を適切に共有し、正当な評価を得るための一助となれば幸いです。事実に基づいて具体的に、そして貢献度を意識しながら、あなたの仕事に対する真摯な取り組みを伝えてみてください。