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仕事の期日や約束を守ってもらうアサーション:確認・依頼・遅延発生時の具体的な会話例

Tags: アサーション, 職場, 期日管理, コミュニケーション, 会話例

仕事を進める上で、同僚や関係者との間の期日や約束は非常に重要です。しかし、時には期日が守られなかったり、曖昧になってしまったりすることもあるかもしれません。相手に催促したり、確認したりすることに抵抗を感じ、「言いにくいな」「角が立つかな」とためらってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした状況で役立つのがアサーションです。アサーションは、相手と自分、双方を尊重しながら、自分の状況や要望を正直に伝えるコミュニケーション手法です。今回は、仕事の期日や約束に関連するシーンで使えるアサーションの具体的な会話例をご紹介します。

アサーションで期日や約束を伝える基本

アサーションの基本的な考え方は、「相手を責めたり非難したりせず、事実に基づいて自分の状況や感じていること、そして相手にしてほしいことを伝える」という点にあります。期日や約束に関するコミュニケーションにおいては、以下の点を意識するとスムーズです。

これらの要素を組み合わせることで、相手に一方的に要求するのではなく、協力して解決策を見つけようという建設的な姿勢を示すことができます。

シーン別の具体的な会話例

シーン1:依頼した内容と期日を事前に確認する

仕事の依頼を受けた際に、内容や期日を正確に理解することは、後々のトラブルを防ぐ上で重要です。「言われたから引き受けたけど、よく考えたら期日が厳しいかも」「この内容で合っているのかな」と不安になる前に、しっかりと確認しましょう。

確認のポイント: * 依頼された内容の具体的なイメージや完成形 * 期日、提出方法、担当範囲 * 懸念点や必要な情報があれば伝える

会話例:

「〇〇の件、承知いたしました。ありがとうございます。」

「いくつか確認させていただけますでしょうか。」

「このタスクは、具体的には〜のような形で進めればよろしいでしょうか。(内容の確認)」

「期日は〇月〇日までとのことですが、この日までに〜の段階までを完了させればよろしいでしょうか。(期日の確認・すり合わせ)」

「進める上で、もし〇〇の資料が必要になるようでしたら、どなたにお願いすれば良いか教えていただけますでしょうか。(必要な情報の確認)」

「内容と期日、理解いたしました。〜までに完了できるよう進めてまいります。」

補足: この段階での確認は、相手に「仕事を理解しようとしている」「責任を持って取り組もうとしている」という印象を与え、信頼構築にも繋がります。曖昧な点はその場で解消しておくことが、後々の「言った、言わない」を防ぎ、期日管理を容易にします。

シーン2:期日が近づいてきたため状況を確認・依頼する(リマインダー)

相手にお願いした仕事の期日が近づいてきたものの、進捗が見えない場合に、確認や念押しをしたいことがあります。相手にプレッシャーを与えすぎず、スムーズに状況を聞き出すアサーションです。

確認・依頼のポイント: * 相手を責める口調にならない * 期日が近づいていること、なぜ確認しているかを伝える * 現在の状況と、今後の見通し(いつ頃完了しそうか)を聞く

会話例:

「〇〇さん、お忙しいところ失礼いたします。」

「先日お願いしておりました、△△の件についてご連絡いたしました。(対象の明確化)」

「期日が〇月〇日と近づいてまいりましたので、現在の状況はいかがでしょうか。(状況描写と確認の意図)」

「もし何かお手伝いできることがあれば、遠慮なくお申し付けください。(協力の姿勢)」

「〇月〇日までにいただけると、その後の☆☆の作業に進めることができますので、大変助かります。(自分の状況と依頼の理由)」

「もし、期日までに難しいようでしたら、その旨といつ頃になりそうか、あるいは代替案についてご相談させていただけますでしょうか。(困難な場合の対応策提示)」

補足: この会話例では、まず相手を気遣い、次に確認の対象と理由を明確に伝え、期日への意識を促しています。さらに、協力を申し出ることで相手の負担感を軽減し、もし期日が難しい場合でも正直に伝えてもらいやすい雰囲気を作っています。

シーン3:期日が過ぎてしまった場合に状況を確認・対応を依頼する

期日を過ぎてしまった場合、相手への伝え方はさらに難しくなります。責めたい気持ちを抑え、冷静かつ建設的に状況を把握し、次のアクションに繋げることが重要です。

確認・対応依頼のポイント: * 感情的にならず、冷静に伝える * まずは状況確認を最優先する * 今後の対応(いつまでに何をしてほしいか)を具体的に伝える

会話例:

「〇〇さん、おはようございます/お疲れ様です。」

「先週〇曜日にお願いしておりました、△△の件でご連絡いたしました。(対象と期日の再確認)」

「期日を過ぎておりますが、現在の状況はいかがでしょうか。(状況描写と確認)」

「何か進める上で問題が生じていますでしょうか。もし困難な状況でしたら、お伺いできますか。(懸念や困難の有無を確認)」

「△△の情報がないと、こちらの☆☆の作業が滞ってしまっている状況です。(自分の状況と影響を伝える)」

「お手数おかけして大変恐縮ですが、いつ頃完了できそうか、目処を教えていただけますでしょうか。(具体的な依頼)」

「もし、完了までに時間がかかるようでしたら、必要な部分だけ先にいただけないか、あるいは一旦こちらの作業を別のもので進めるかなど、今後の進め方についてご相談させていただけますと幸いです。(問題解決に向けた相談)」

補足: 期日を過ぎている状況では、つい非難がましい口調になりがちですが、まずは落ち着いて状況を尋ねることが第一歩です。「何か問題が生じていますか?」と問いかけることで、相手が抱えている困難を打ち明けやすくなります。その上で、自分の状況と必要な対応を具体的に伝えることが、前向きな解決に繋がります。

まとめ

仕事における期日や約束に関するコミュニケーションは、業務を円滑に進める上で避けては通れません。今回ご紹介したアサーションの会話例は、相手への配慮を忘れず、かつ自分の状況や必要なことを明確に伝えるためのものです。

これらのフレーズや考え方を参考に、まずは簡単な確認や依頼の場面から試してみてはいかがでしょうか。アサーションを実践することで、期日管理のストレスを軽減し、同僚とのより良い協力関係を築く一助となることを願っております。